紙に書くということ


ノートに何かをカリカリと書きつけたい衝動に駆られる時がある。
でも、書くのは、自分の思いとかじゃないんだ。それとは違うものを、少し改まった気持ちで書きたい。
さて、何を書こうか?
そうだ、詩がいいかも。自分の詩じゃなくて(笑)、詩人の詩を書き写すのだ。
そう思いついて、図書館をふらふらしていたら、この本に出会った。

中原中也 悲しみからはじまる (理想の教室)

中原中也 悲しみからはじまる (理想の教室)

パラパラとめくっていたら、文字を書くということについて、印象深い言葉が。

一枚の紙(原稿用紙)というのは不思議な空間です。そこに文字を書いていると、書かれた言葉だけではなく、文字を書いていた自分の時間までがフリーズされてしまいます。誤記も、推敲も含めて、一枚の紙に書かれた文字は、書き癖や筆跡とともに、さまざまな時間を封じ込めてしまいます。後で読み返すと、その隠されていた時間がゆっくりと紙の上に溶け出してくるような気さえします。
(注:これは中原中也の言葉ではなく、この本の著者である佐々木幹郎さんの言葉です。)

書きたいというのは、そういうことだったんだなぁ。無意識のうちに、自分の時間を、紙という目に見えるものに閉じ込めたかったということなのか。


さて、なんでも形から入る自分のこと、クラシカルなツバメノートを買ってみた(フフ、ベタですみません)。
こんなノートに中原中也北園克衛、そうだ、長田弘もいいなーなんて思いを馳せたりして。詩というものとあまり向き合ったことのない人生だったけど、これを機会に浸かってみるっていうのもいいかもしれない。ようこそ、新たな世界よ!

北園克衛詩集 (現代詩文庫 第 2期23)

北園克衛詩集 (現代詩文庫 第 2期23)

昔、雑誌オリーブの“のんちゃんジャーナル”で紹介されていて、「なんかすてき!」と買ったんだけど、ろくに読みこめずに売ってしまった(青春てやつだな!)。今、これが欲しい(笑)。
長田弘詩集 (ハルキ文庫)

長田弘詩集 (ハルキ文庫)

唯一持ってる詩集。これも何年か前、『暮しの手帖』で紹介されていてあこがれたのだった。